みんなのサービスをもっと広げるメディア「POPCORN Lab」のシリーズ企画『事業開発Journey』では、事業成長の裏側にあるストーリーに迫ります。
今回は、株式会社ななごー代表の長谷川晶平さんにインタビューを行いました。同社が開発した「ScoreBook」がどのように誕生し、進化を遂げてきたのか、また今後の展望について詳しくお伺いしました。
「ScoreBook(スコアブック)」とは?
「ScoreBook」は野球ファン同士をつなぐマッチングアプリです。性別や年齢に関係なく、12球団のファンが球場で観戦仲間を見つけたり、全ユーザーが利用できるタイムライン機能でコミュニティを形成したりすることを目指しています。2023年3月にiOS版をリリース後、ユーザー数は2万人を突破。ネットワークランキング17位を記録するなど、注目を集めています。
きっかけは、懐かしのmixiコミュニティ体験
- サービス開発のきっかけを教えていただけますか?
長谷川さん:以前利用していた「mixi」のコミュニティ機能がとても面白く、同じような仕組みを作れないかと考えていました。野球は特に、シーズン中はほぼ毎日試合があるという特徴があります。自分自身も野球が好きだったので、これらの要素を組み合わせてサービスを立ち上げることにしました。
- 「mixi」は私もよく利用していました!当時のコミュニティ機能で特に魅力的だと感じた点を教えてください。
長谷川さん:mixiのコミュニティでは、趣味について知らない人同士で語り合えるのが楽しかったですね。今でも2年に1回くらいはmixiを開いて懐かしんでいます。でも、ログインしている人がほとんどいなくて寂しい状況です。
- 「ScoreBook」のコミュニティ作りでは、特にどんなポイントを重視されたのでしょうか?
長谷川さん:「一つのテーマがあることで、非常に話しやすくなる」というコミュニケーションの特徴を活かし、話のきっかけが自然に生まれる仕組みを作っています。また、マニアックな野球ファンだけでなく、「野球は好きだけど一緒に行く人がいない」というライト層もターゲットにし、コミュニティの活性化を図っています。
独自の機能設計と工夫した点
– 「ScoreBook」の特徴的な機能について教えていただけますか?
長谷川さん:「ScoreBook」には、観戦募集やチケットの譲渡機能のほか、「観戦予定」機能があります。観戦を一緒に行くことは敷居が高いと感じる方もいますが、「この日行きますよ」といった軽いお知らせであれば、気軽に共有できると思います。
– この機能により、どのような効果を期待されていますか?
長谷川さん:ユーザー同士が「その日行く予定です」といった形で、球場での直接的な交流ではなく、軽く顔を合わせる程度の出会いが生まれることを期待しています。
– 他のマッチングアプリとの違いは何でしょうか?
長谷川さん:一般的なマッチングアプリは一対一の関係が中心ですが、私たちは複数人で楽しむことのできるコミュニティ型のコンテンツを提供したいと考えています。

Web版から始まった9年間の進化
- サービスの歴史について教えていただけますか?
長谷川さん:Web版は約9年前に立ち上げ、8000人ほどのユーザーがいました。ただ、マネタイズの方法が見つからず、趣味の延長として運営していました。
- アプリケーション版への移行を決めた理由は何だったのでしょうか?
長谷川さん:スマートフォン上での利用が主流になっていく中、Web版だけでは限界を感じました。また、ユーザーが8000人だと広告収入も限られていたので、アプリケーション開発を決意しました。
- 開発体制はどのような形だったのでしょうか?
長谷川さん:私は全体の設計、「この機能が欲しくて、ここにこういうものを置く」といった企画を担当し、エンジニアがそれを実装する形で進めました。
サービス開発での挑戦と成長
- サービス開発において直面した課題を教えていただけますか?
長谷川さん:自分を含めて開発チームもアプリケーション開発は初めてだったので、わからないことだらけでした。想定の倍以上の期間がかかり、完成後も予期せぬバグが発生し、ユーザー様からご指摘いただく場面もありました。似た機能を持つサービスを参考にしながら、テストと改善を重ねていきました。どこを工夫していいかもわからない状態だったので、地道な努力を続けました。
- その経験から得られた学びはありますか?
長谷川さん:アプリケーション開発はこれまでのHP制作とは全く異なり、戸惑うことも多かったです。しかし、新しい挑戦を通じて、これまでとは違ったスキルや知識を得ることができ、それが成長につながったと感じています。
予想外のバズと見えてきた可能性
- サービスが注目を集めた経緯を教えていただけますか?
長谷川さん:とあるユーザー様が、スクリーンショットとともにネガティブな投稿したことがきっかけでした。それがバズってしまい、サーバーが落ちるほどアクセスが集中しました。
- そこから得られた気づきはありましたか?
長谷川さん:「登録できない」「使いたいのに使えない」といった声を多くいただき、申し訳なく感じる一方で、期待してくれている方が多いことを実感しました。ネガティブな投稿がきっかけとなりユーザーが急増したものの、結果的には純粋な野球ファンが増え、サービス内でのトラブルもありませんでした。
- 実際に利用したユーザーからの反応はどうでしたか?
長谷川さん:一般的なマッチングアプリは会話して終わりという方が多いのですが、「ScoreBook」では、mixiのコミュニティのように趣味について語り合える場として機能しているようです。
インフルエンサーマーケティングの展開
- プロモーションについて教えていただけますか?
長谷川さん:Instagramのターゲティング広告を試しましたが、費用対効果が想像以上に低く、施策を見直す必要がありました。そこで、野球好きの女性インフルエンサーの方に声をかけたところ、1回のプロモーションで500人ほど増えました。
- 女性インフルエンサーに依頼した理由は何ですか?
ライトユーザーに焦点を当てたためです。「初心者で野球に行きたいけど一緒に行く人がいない」という思いを抱えている若い男女をターゲットにしたかったので、初心者層に親しみやすい若い女性のインフルエンサーに依頼させていただきました。
- 実際に集まったユーザー層には、どんな特徴がありますか?
長谷川さん:想像以上に女性ユーザーが多いです。ユーザーデータとして性別を取得していないので全体の割合は不明です。ただ、課金ユーザーのデータを見ると、女性が1〜2割程度を占めていると推測しています。
- 今後のプロモーション戦略についてお聞かせください。
長谷川さん:通常のターゲティング広告は費用対効果が良くなさそうなので、基本的にはインフルエンサーマーケティング周りで考えています。今後は球団との公式な連携を進めていきたいと考えています。また、YouTubeの野球好きなYouTuberとのコラボなども検討しています。

現状の課題
- 運営上で直面している課題を教えていただけますか?
長谷川さん:一般的なマッチングアプリのような厳密な本人確認体制がまだ整っていません。不適切な投稿や情報に関する通報が来ることもあり、現状はユーザー様からの通報に頼っている状況です。今後は審査体制の構築を検討していく必要があります。
- 他に感じている課題はありますか?
長谷川さん:野球のシーズンオフは話題がないため交流がしづらく、ユーザーが何もすることがない状態になっています。タイムラインには投稿していただける方が多いものの、オフシーズンは書くことがないというのが課題です。
今後の展望
- 今後の機能開発についてお聞かせください。
長谷川さん:現時点では新たな機能を追加する予定はありません。現在の『友達を探す機能』や『タイムライン機能』で十分にサービスを提供できていると考えており、機能を増やすよりも、既存の機能をシンプルでわかりやすくすることを重視しています。
- 長期的な目標も教えてください!
長谷川さん:「ScoreBook」としては、まずはユーザー数を10万人まで増やすことに注力します。また、事業全体としては人と人をつなげてコミュニティを作りたいという想いがあるので、将来的には採用マッチングなど新しいサービスの立ち上げも検討しています。
「ScoreBook」で野球観戦をもっと楽しもう!
長谷川さん、インタビューへのご協力を誠にありがとうございました!
マッチングアプリという形に留まらず、野球ファン同士の自然な交流を促進するために、コミュニティ機能に焦点を当てている点に感銘を受けました。
「ScoreBook」のさらなる発展を心から応援しています!
野球ファン同士をつなぐマッチングアプリ「ScoreBook」は、性別を問わず野球観戦の仲間を見つけることができるサービスです。タイムラインでの交流や、観戦予定の共有など、野球ファンのマッチングのための機能が充実しています。
野球観戦が好きな方、新しい仲間と一緒に応援したい方は、ぜひダウンロードしてみてください!
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